七面鳥が引き起こした酒・醤油・味噌の危機


一般に日本酒は寒冷地で作られてきました。

これにはいくつかの事情があります。

①物理的な事情

夏場は農業が出来るが、雪に閉ざされる時期は仕事が少ない。

そのため米の収穫を終えた農家が、杜氏としてあちこちの酒蔵へ出向いていました。

(ちなみに納豆もまた、昔は農家の冬の収入源でした。そのせいか、俳句の世界でも冬の季語になっています)

②技術的な事情

酒の発酵に必要なもろみは、温度が高すぎると麹菌より乳酸菌が先に繁殖してしまう。

今でこそ空調や冷却装置がありますが、乳酸菌の繁殖は酒造りの失敗を意味します。

昔は雪の冷却力や強い冷え込みを利用して、もろみの温度をコントロールしていたんですね。

これらの事情で、日本酒が作れる土地は限られていたのです。

日本で作られるお酒は、日本酒から焼酎・泡盛も麹菌で作られています。

しかし日本酒が黄麹菌(アスペルギルス・オリゼー)でないと作れないのに対して、焼酎や泡盛は黒麹菌(アスペルギルス・リュウキュウエンシス)や白麹菌(アスペルギルス・カワチ)。

最近は黄麹菌でも作られているようですが、一般にクエン酸を作る麹菌で作ります。

クエン酸が作られることで、高い気温下でも腐敗せず発酵が進んでくれるのです。

このように作られたお酒はとっても酸っぱいので、最後に蒸留が必要です。

麹菌は真菌なので、平たく言うとカビです。

そのため1960年代、日本で作られるお酒全般や味噌・醤油などが世界的に大問題になったことがあります。

食べられるカビと言うと、カマンベールチーズやロックフォールチーズなどが思い浮びます。

麹菌だけでなく、鰹節などカビを利用した保存食品が身近にある為か、『カビを食べる』という行為があまり特別なこととは思っていませんでした。

しかし世界的にはかなり稀なケースだと知りました。(結構後になってからですが)

感謝祭の食卓に欠かせない七面鳥料理

酒や醤油などが大問題になった理由は、イングランドで発生した七面鳥の大量死です。この大量死の原因が、餌としてブラジルから輸入していたピーナッツに発生していた”カビ”でした。

このピーナッツに生えていたカビは『アスペルギルス・フラバス』

一般に”アスペルギルス”と呼ばれるカビは、”アフラトキシン”という食中毒の原因となる毒を作ります。

A・フラバスは、黄麹菌『アスペルギルス・オリゼー』と似ている特徴を持っていました。

ちなみにオリゼーとは稲の学名オリザ・サティバからきており、『アスペルギルス・オリゼー』を直訳すれば『米のカビ』。

A・フラバスとA・オリゼーは遺伝的にもよく似ていたので、伝統的な発酵食品の数々にA・オリゼーを使用していることが世界中に知られると

「日本人はカビで食中毒を起こさない特異体質なのか?」

というような話も出たそうです。

1000年以上の食習慣を持つ麹菌。

「カビ毒?!そんな訳ない!」

と日本の研究者は、専門を超えて安全を証明するために奔走しました。

するとアスペルギルスが、カビ毒アフラトキシンを生合成するには

①かなり多くの遺伝子が関与し、

②関連する全ての遺伝子が活性を保持していること

という条件が必須であることが判明しました。

しかも生合成の過程がそう単純ではなく、かなり長い道のりを踏まないと作られないことも判りました。

一言で”麹菌”と言っても、蔵によって風味は様々です。

それはその土地や蔵に適応した結果であり、

・作りやすい

・風味が良い

といった理由で長く選別されてきた結果とも言えます。

”日本人”と言っても、一人一人体質や性格が違うのと同じことです。

そのため日本中の蔵から麹菌を集め、徹底的に調査しました。

その結果確かにA・オリゼーも、カビ毒生成に関する遺伝子は全て持っていました。

しかしどれも

・複数の遺伝子が突然変異している

・アフラトキシンの合成に重要な役目を果たす遺伝子配列の一部が欠けていた

などの理由で、アフラトキシンが作れない麹菌しか存在しませんでした。

とりあえずこの結果を持って、安全であることは認められましたが、2000年代に入り、ゲノム解析が完了すると、カビ毒を作る遺伝子群が完全に機能を失っていることが証明されました。

それに加え、

①通常のカビの場合、胞子1個に対して核は1個なのに、A・オリゼーは複数の核を持っている

⇒発芽が早くなり、形質が安定的

②デンプン分解酵素(アミラーゼ)の遺伝子が重複している

⇒重複している分、酵素の生産量が増え、分解速度が上がる

ことなどが分かりました。

また同じアスペルギルスの近縁カビは、明るい所で胞子を積極的に作り飛ばします。

なぜなら暗い=土の中にいる状態であって、地表に顔を出さないと、胞子(子孫)を飛ばせないからです。

ところがこのオリゼーは真逆で、明るいと胞子を作りません

これも醸造にはとても重要な特徴です。

なぜなら

①胞子が形成されると”エグ味”で出る。

②エグ味を防ぎたければ、本来真っ暗な中で作業しなくてはならないが、それでは作業効率がとんでもなく悪い。

遺伝子解析どころか、顕微鏡すらない時代、どうやって核や胞子の状態を判断したのでしょう。

またカビ毒を作らない遺伝子欠損や変異を、どうやって見極めたのでしょう。

名もなき多くの職人さんが麹菌と向き合い、「これは!!」という菌を選別・育成してきた積み重ねのお蔭です。

アスペルギルス・オリゼーは和名ニホンコウジカビ

その名の通り、日本にしか存在しません。

というより、日本で育てられた奇跡のカビです。

関連ブログ⇒さくら・こうじ・きじ

関連ブログ2⇒パスツールVSコッホ(その3)

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