東洋医学から見る53~脾を整えて梅雨と土用を乗り切ろう
- 青い森工房
- 7 日前
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湿気の多い夏
今年は7月19日から夏土用に入ります。
それまでは暦上は”夏”ですが、すでに沖縄などが梅雨入りしているように6月上旬から7月下旬は梅雨で湿気の多い季節です。
漢方で夏の臓腑といえば≪心臓≫と≪小腸≫ですが、この時期≪脾≫の不調と思われる犬猫にしばしば出会います。
≪脾≫は土用の臓器ですが、消化全般と免疫系を司っていると考えられています。
そして≪脾≫は湿気や暑さが苦手なのです。

脾の不調がもたらす症状
腎が生まれ持った元気を貯める所に対して、脾・胃は後天の元気を補充していくと考えられています。
そして脾は、夏の臓器・心臓のエネルギーで活動し、腎を監督している感じです。
そのような関係で維持されている体にとって、湿気を伴う暑さが続く梅雨~夏は脾にとって負担が大きいのです。
脾には脾臓の他、膵臓も含まれると考えているので、脾の疲弊は消化不良や下痢、食欲不振などが起こります。
食欲不振も胃に水分が滞る”胃内水滞”などが原因で起こることが多く、下痢は腎臓からおしっことして排出できなかった余分な水分を排出している考えられています。
また滞った湿気が上昇すれば頭痛や頭重感などとして表れますし、関節で滞れば関節の痛みとして表れ、皮膚で滞れば皮膚炎やポツポツとして出ます。
つまり体内で滞った湿気(水)で様々な不調が起こるのです。

イライラ、憂鬱も脾の不調
そして肝脾不調(肝鬱脾虚)という体と心の不調が起こることもあります。
肝が全身にまわしている”気”は脾が作りだしており、肝や脾の不調では生命のエネルギーである”気”に影響が出やすいのです。
脾の疲弊や不調で”気”が充分に作られないと
・疲れやすい
・だるい
・免疫力の低下
・冷え
・消化不良
・憂鬱
などが起こり、いわゆる夏風邪にかかりやすい体になります。
そういった状態を放置していると、発汗が過多になり喉が渇いて水を飲んでも水を必要としている所に運ばれず、ただ浮腫むだけ・・ということ起こります。
そのような状態になると体を冷ますための水もきちんと回らず、水分補給をしていても脱水症状になったり、熱中症になりやすい状態になります。

気を巡らせる肝
一方、気を全身に巡らせる役目をしている肝も、”巡らせたい気”が足りないためイライラしたり、不安感という症状が出る場合はあります。
人の場合もジメジメとした天気が続くと、なんとなく憂鬱になったりイライラした経験がある方もいると思いますが、それは精神的な問題というより”湿気”が招く典型的な不調なのです。
犬も雨でお散歩が短くなったり、時には行けない日もあったりすると、いたずらが増えたり食欲が落ちたりすることがあります。
単純に運動量が減ったことによる食欲の変化はあまり気にする必要はありませんが、それが長く続いたり、問題行動の増加は”脾”の不調からも起こり得ます。

まとめ
気の不足(気虚)や気の滞り(気滞)は侮れません。
湿気の多い梅雨の他、脾が関わる土用は年4回ありますので、その季節に合わせた脾の養生を取り入れることで季節の変わり目に起きやすい体調の変動を小さくすることができます。
特に脾・胃は消化や免疫と密接なので、季節の食材を取り入れた食養生が発揮しやすい臓腑でもあります。
是非、旬の食材を楽しんで、梅雨~土用を穏やかに過ごして頂ければと思います。