血液型よる性格判断に科学的根拠はある?
占い・・・当たる当たらない別として、つい見ちゃいます。
占星術はギリシャ哲学から発展したと言われ、現在は統計学の一つとして海外では真剣に研究している方も少なくありません。
天気図と過去の気象データから天気予報するのと、同じようなことらしいです。
一方、血液型診断(占い)というのは、日本独特らしく海外の人からは不思議がられることもあります。
「血液型診断なんて根拠ない」
と言われる中 、東京医科歯科大学・名誉教授の故藤田絋一郎先生は、血液型と免疫力の関係を研究され、罹りやすい感染症や体質にあった食材があると発表し『トンデモ科学者』と言われてしまいました。
しかし血液型が生まれた経緯や免疫力の差が、ある程度性格に影響しているという先生の説は『トンデモ話』と言えないと考えています。
藤田先生といえば、別名『回虫先生』として有名です。
寄生虫が及ぼす人体への影響等を研究するために、回虫に”キヨミちゃん”だの”〇〇ちゃん”だのと名前までつけて、ご自身のお腹で飼っていた御仁。
その個性的な研究が、この世界的なパンデミックで再び注目されています。
血液型の差は何の差?
そもそも血液型の差は何なのかというと、赤血球の表面にある糖鎖の違いです。
糖鎖とはその名の通り、いくつかの糖が鎖状につながっているのですが、血液型によってくっついている糖が違うのです。
O型の糖鎖が基本で、これは人(Human)なら全て持つ糖鎖なので、”H型物質”と呼びます。
A型はこのH型物質に、Nーアセチルガラクトサミンという糖がくっついて、このタイプの糖鎖を”A型物質”と呼びます。
B型は同じくH型物質に、ガラクトースという糖がくっついて、これが”B型物質”。
そしてAB型は、A型・B型両タイプの糖鎖を持っています。
これらH型物質・A型物質・B型物質は、血液だけでなく全ての臓器、筋肉、骨など全身のあらゆるところに存在しています。
そして特に胃と腸には、赤血球表面を大きく上回る血液型物質が存在します。
これが複数の血液型が発生したヒントになります。
細菌類にも血液型がある
”血液型”を決めるA型物質やH形物質は、腸内細菌も持っています。
細菌やウィルスなど微生物の誕生は、動植物より古いため、保有する糖鎖にバリエーションを持たせ、様々な環境に対応してきたのが伺えます。
どのタイミングで、微生物の血液型物質が動物にも取り込まれたかは不明です。
しかしあるレトロウィルスが生殖細胞に感染を繰り返すことで、哺乳類の胎盤が作られたように、腸内細菌のもつ血液型物質の遺伝子がヒトの細胞の遺伝子に組み込まれたと考えられています。
それによって赤血球にバリエーションが出来、複数の血液型が生まれたのでしょう。
関連ブログ⇒ネコ白血病ウィルスがヒントになる感染症対策
例えばクロマニョン人はO型しかいなかったと考えられていますが、人類の歴史は感染症(寄生虫・細菌・ウィルスなど)との闘いです。
例えばA型の人は抗B抗体を持っているため、B型物質を持つ細菌などに抵抗力を持っています。
逆に抗A抗体を持つB型の人は、A型物質を持つ微生物に抵抗力が高い。
まとめると
A型⇒赤血球表面にA型物質を持ち、抗B抗体を持つ
B型⇒赤血球表面にB型物質を持ち、抗A物質を持つ
O型⇒赤血球表面はH型物質のみ。A型物質もB型物質も持ってない。
抗A物質&抗B物質、両方持っている。
AB型⇒赤血球表面にA型物質&B型物質、両方持っている。
でも抗A物質&抗B物質、両方持っていない。
細菌は、A型物質をもつものが多いので、抗A抗体を持つB型とO型の人は、細菌性感染には比較的抵抗力を持っていると考えられています。
O型は抗B抗体も持っているので、さらに強い。・・・と思いきや、コレラ菌に対しては弱いのです。
なぜかコレラに対しては、どちらの抗体も持たないAB型が強い。
一般に抗体を持つほど免疫力が高いとされ、様々な病気に強い体質と言えますが、そう単純ではないのが微生物の世界です。
よくAB型の人の性格診断で「不思議ちゃん」と書かれていることがありますが、不思議なのは微生物の反応の方です。
ただこうして血液型の多様性が生まれることで、生物としてのリスクが分散されるのは間違いありません。
猫の血液型
猫の血液型は今のところA型・B型・AB型の3種が判明しています。
ただ交配によって生まれる血液型パターンは人間と違い、かなりA型が優位に産まれます。
B型はB型同士の場合しか生まれず、B型×AB型はAB型にしかなりません。
一方、A型同士がA型になるのは当然として、A型×B型、A型×AB型も全てA型になります。
ただ最近、少し違うケースも出てきたりして、このへんのメカニズムはまだよく分かっていないのですが、日本国内の猫の約90%がA型と言われています。
仔猫の成長率が犬に比べて低いのは、この血液型の少なさに関係しているのではないかと考えています。
これほど一つの血液型が優位であるということは、例えば母猫と仔猫の血液型の違いによって、仔猫の体が母乳を受け入れられないケースもあるのではないかと・・・。
そしてただでさえ免疫力が十分でない幼齢動物にとって、抗体の種類が少ないのは高い壁かもしれません。
多彩な血液型を持つ犬
一方、大きさも種類も猫に比べると多彩な犬ですが、血液型も多彩で国際的に認められているのは8種類です。
ただ研究途上にあり、新たな糖鎖パターンが次々と見つかっており、10種類以上判明しています。
犬の場合はABO式ではなくDEA1.1、DEA1.2、DEA3~8の八種類。
ちなみにDEAとはDog Erythrocyte Antigenの頭文字で、犬赤血球抗原という意味です。
そしてとても特徴的なのが、一頭の犬が複数の血液型を持っていることです。
つまりDEA1.1とDEA6という子もいれば、DEA4とDEA5とDEA7という子もいるという感じです。
こうなるとかなり複雑な『血液型による性格占い』になりそうです。
(;^ω^)
ちなみにDEA1.2やDEA3を持つ個体はかなり少ないですが、犬の血液型は犬種による差の他、国や地域でもかなり差が見られます。
猫についても、国によって血液型分布に差が見られますが、人でも同様です。
例えば日本では10%弱を占めるAB型がアメリカでは4%、コロンビアでは2%だったりします。
また日本では30%程度のO型は、コロンビアでは60%以上、ギニアでは64%も占めるほどであることを考えると、やはりその地に暮らす上で必要な免疫力を得るために、何らかの影響が働いているように見えます。
犬の場合は、そういった環境的な条件に加え、人の手による交配がありますので、
「その国で好まれる性格や体質」を目指した結果、そのような分布になったとも考えられます。
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