東洋医学から見る55~てんかんと痰
- 青い森工房
- 27 分前
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痰の種類
いわゆる風邪をひいた時に喉に絡む”痰”も含まれますが、漢方で言う”痰”は体内の水分代謝が上手くいかなかった時に出来、体のあちこちで滞って問題を起こすと考えられています。
例えば風邪の時に咳や熱を伴って喉に黄色い痰が絡むことがありますが、そのような状態を”熱痰”と呼びます。
その名の通り、余分な”熱”と”水分(湿気)”が滞った状態で、西洋医学では気管支炎と呼ばれるような時やインフルエンザや風邪等の回復期にも起こりやすいです。
つまり気管支炎だろうがインフルエンザだろうが、熱が長引いて痰が絡み、睡眠にも影響するような時は漢方では”熱痰”が起こっていると考えます。

一方で、秋から冬にかけて起こりやすい”痰”は、肺や脾が冷えることで発生します。
こちらは”冷え”と余分な”水分(湿気)”が滞ることで起こり”寒痰”と呼びます。
寒痰もまた咳や痰を伴いますが、余分な水分(湿気)が体内のどこかで滞っているため、本来必要とされている肺の粘膜は乾燥していたりします。
すると痰の量も少なく、吐き出しにくい=喉に絡みやすい痰となり長引きます。
同時に呼吸がゼーゼーしたり胸痛や息切れなどを伴うこともあります。
そして吐き出せなかった余分な水分が腹痛を伴う下痢になることもあります。
”熱痰”は粘り気のある水分なので解消しづらい”痰”ですが、”寒痰”はサラサラした水分なので正しく養生すれば比較的解消しやすい”痰”だと言えます。

見えない痰が起こすてんかん発作
このように痰は体内の余分な水分(湿気)が原因となるわけですが、風邪や気管支炎などの時に出る”痰”は目に見えるし、その存在を感じることができます。
しかし東洋医学では、てんかんやシニアになると増えるてんかん様の発作も、経絡や神経の周りに”痰”が詰まり、気の流れを阻害することで起こると考えられています。
こちらの”痰”はCTやMRIなど最新の画像診断機にも写らない類のものですが、この痰を流して取り除き、合わせて胃・脾を丈夫にする食餌や養生で発作が起こりにくくなります。
そもそも年齢を重ねると、生まれながらの元気を貯めてある”腎”も弱ってきます。
腎の弱り=老化とも言えるので、避けられないことではありますが”腎”とペアで活動している”膀胱”も弱っていくので、水分の流れや排出が滞るようになります。
そういった老化現象に伴い、どうしても”痰”は出来やすい体になってしまいます。

脾は生痰の源、肺は貯痰の器
そもそも”痰”が作られなければ良いのですが、脾の機能が低下すると飲食物が上手く消化できず、それが”痰”に変化していきます。
するとそれは肺に貯めこまれていくと考えられています。
脾は過剰な水分(湿気)が苦手です。
脾・胃は土用の臓腑なので、季節の変わり目の年4回、重要な活動をします。
自然界で言えば土のような役目をするので、
水(腎)を吸い
↓
木(肝)を育て
↓
火(心)で燃やされた木は土の一部に戻り
↓
金(肺)は土から生み出されます。
このように1年を通して各臓腑と関り、季節の移り変わりに起こりがちな体調の変化を調整してくれるのです。
そのため常日頃から脾を整え、
・余分な水分(湿気)を貯めこまない
・痰を作らせない
ことが、てんかん発作を軽減させていくためにとても大切です。

シニアに増える心臓の不調にも痰が
シニアになると心機能が落ちて様々な症状が出ることがあります。
例えば痩せてきたり咳が出たり、むくみ、肺に水が溜まる・・などの症状が出ますが、これもまたただ心臓の養生だけでなく、”痰”の存在を考慮し脾を鍛え整えることが必要です。
つまりてんかんや心臓の不調など”痰”が原因と考えられる何らかの症状が出ている時は
・まず痰を取り除くこと
・今後作らせないように”脾”をしっかり機能させる
ことが大切になります。
梅雨から高温多湿の夏、エアコンによる冷え、秋~冬の寒さなど、痰を作りやすい環境が続きます。
心臓の不調やてんかんの症状が出ると薬が手放せなくなりますが、食餌や日常生活の中で脾を鍛え、円滑に活動させることで少しでも穏やかに過ごしてもらえたらと思います。




