東洋医学から見る54~水分摂取を誤ると見えない痰に悩まされる
- 青い森工房
- 8月11日
- 読了時間: 4分
更新日:8月24日

ドライフードじゃなきゃダメ?
暑い時期の水分補給は大切ですが、摂り方が悪くて夏バテや体調悪化を招いているケースに直面することが増えました。
近年は5月や6月から真夏のような暑さになることも珍しくなく、7月、8月ともなれば体温並みの猛暑日も少なくありません。
そのような環境では、人間ものど越しの良いものや、口当たりの良いものが食べたくなります。
それは犬猫も同じなので、ドライフードにこだわらない食餌を与えて欲しいのですが
『栄養バランスが崩れる』
『一度手作り食やウェットフードに変えるとドライフードを食べなくなる』
という考えが強く、なかなか踏み切れない方が多くいらっしゃいます。
ドライフードに水分を吸わせて与えるだけでも効率よく水分が摂取できる上、食餌の消化吸収も良くなるので是非お試し頂きたく思います。

風邪をひいた時に出る痰ともう一つの見えない痰
「毎日水を〇リットル飲みましょう」という健康法を実践している方やとにかく暑くてお茶やスポーツドリンク、アイスコーヒーなど種類を問わずがぶ飲みしている方は”痰”に注意です。
水分摂取が大切なのは言うまでもありませんが、摂取した水分が
・吸収できていない
・全身に滞りなく回せていない
・余分な水分が排出できない
と浮腫んだり下痢、軟便、めまいがする、体が重い・・などの症状が出ます。
これは体内に”痰”が発生していると考えられます。
漢方でいう”痰”はもちろん風邪をひいた時に喉に絡む痰も含みます。
あの痰は気道や肺を守るために常に分泌されており、通常は胃へ流れていきます。
ところがウィルスや細菌などの異物が入ってくるとそれを捉え、粘り気のある色のついた痰となります。
こうしてできた痰は呼吸器粘膜の上皮細胞にある繊毛によって下気道から上気道へ押し上げられ、排出されます。
排出される過程で、喉に絡んだりするわけです。
ここに発熱や咳が伴うと漢方だと”熱痰”と呼ばれる状態ですが、他にも体内に停滞した余分な水分も”痰”と呼びます。

痰の種類
痰にはいくつか種類があり、”水滞”は水分代謝が上手くいかず体内で滞っている状態です。これは比較的サラサラした水分なので、滞っていても排出するのは難しくありません。
これからの季節(秋~秋土用、冬)に起きやすい”寒痰”は、肺や脾が冷えることで発生します。
これもサラサラした水分なので、出来てしまっても排出しやすい痰の一つです。
問題は”痰飲”と前述した”熱痰”です。
高温多湿の気候では”痰飲”が起こりやすく、これが食欲不振や夏バテにつながることが多いのです。痰飲の水分は粘り気があり、排出しづらいという特徴があります。
また『脾は生痰の源、肺は貯痰の器』という言葉があるように、脾の機能が低下すると飲食物が上手く消化できず、それが”痰”に変化していきます。
するとそれは肺に貯めこまれていくと考えられています。
今の時期に起きやすい”痰”はこの痰飲です。

夏風邪が長引く理由
痰飲が起こっている時に湿気や熱がこもると”熱痰”になり、黄色く粘り気の強い痰となります。
これがいわゆる風邪や気管支炎、肺炎などの時に起こる痰です。
よく『夏風邪は長引く』と言われるのは、梅雨時期から湿度の高い環境が続き、体の水分代謝や巡りが上手くいかないことから起こる”脾”の弱りに起因するからです。
食欲不振や消化不良など胃腸機能が低下し、免疫力が下がっているところへ、粘り気のある排出しづらい水分”痰”が滞る。
それが肺に溜まっていき、余分な湿気や熱がこもると排出しようとする力が強まり、色の付いた粘り気の強い痰や激しい咳となるわけです。
西洋医学だとせき止めや去痰剤、解熱剤、場合によっては抗生物質や抗ウィルス薬なども使いますが、対処療法が中心になります。
一方で東洋医学では高温多湿の環境で起こった風邪や呼吸器系の症状の場合、肺(呼吸器)を中心とした症状の基に”脾”の弱りや不調が存在することも考慮して薬や養生の仕方を選びます。
つまり”痰飲”から発生してしまった体調不良には、対処療法のみだと根本が解決されていないので、細菌やウィルスが排除されても長引くのです。

まとめ
暑い日が続くと人も動物も水分をがぶ飲みしてしまいがちです。
もちろん暑い時期はいつもより多めの水分摂取が大切ですが、食餌や生活習慣で余分な水分を排泄できる体を作らないと様々な体調不良を引き起こす可能性があります。
まずは飲むだけでなく、食餌からも水分を摂れるよう工夫しましょう。
特にドライフードを中心に食べさせている場合は、普段から水分の吸収や巡りが悪くなっていることも考えられるので少しづつ水分豊富な食餌を試してみましょう。