リンゴとミカンを一緒に食べると起こる素晴らしい効果~ビタミンC含有量では測れない栄養効果
- 青い森工房
- 4 日前
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冬の二大くだもの
リンゴとミカンは冬場に欠かせない果物です。
ミカンは簡単に皮がむけて、より手軽に食べられるとあってリンゴより人気が高まっています。
しかし最近発表された研究結果によると、リンゴはミカンなどに多く含まれるビタミンCが排出されるのを抑制する効果があるようです。
つまりどちらかではなく、どちらも少しづつ摂ると
・免疫機能の維持
・コラーゲンの生成を助けて筋肉・骨・軟骨・皮膚・血管などを丈夫にする
ビタミンCの維持に非常に効果的であることが分かってきました。
≪参照≫Hiromi IZAWA, Suzuka KATO and Haruka TATEHANA
Suppressive Effect of Apple Juice Intake on Urinary Excretion of Ascorbic Acid: Unblinded Randomized Crossover Study in Healthy Japanese Subjects
Journal of Nutritional Science and Vitaminology 2024-8-31

大航海時代に続出した壊血病
15世紀末、長期に渡って航海に出る船乗りたちに”壊血病”(かいけつびょう)という病気が多発しました。
筋肉や関節の鈍痛、歯茎や粘膜、皮膚からの出血。
そしてついには歯が抜けたり、血管も損傷し、貧血が進行し命を落とすことも少なくなかったのです。
古代ギリシャ時代にも似たような症状が記録されていますが、その時はなんと”ジステンバー”と呼ばれていたという記録があります。
(犬ジステンバーがヒトにうつることはありません)
当時は原因が分からず、様々な対策が試されましたが壊血病は感染症ではなく、ビタミンCが長期間に渡って不足することで起こります。

当時から食事に問題があると考えられてきたフシはあり、
・麦汁を飲ませると良い
とか
・シードル(リンゴ酒)やリンゴを取り入れると、衰弱はあるが死亡は防げる
というような記録があります。
麦汁に関してはビタミンCこそ摂れませんが、同じく水溶性で体が保持しにくいビタミンB群が補給できるので”脚気”の予防にはなったと思います。
脚気もまた歩行困難や疲労感が出て、若くても重症化して命を落とすこともあったので混同されていたのかもしれません。
一方、リンゴやシードルなどは、それほど多くのビタミンCは含んでいないので、なぜそれで症状が軽減されたのか長い間ナゾでした。

ビタミンC摂取との闘い
当時、食材の保存性を高めて船に乗せるには乾燥させるか、塩漬けにするくらいしかありません。
ビタミンCは水に溶けやすい一方、熱に弱く、空気にさらされると失いやすい欠点があります。
ジャガイモのように比較的長期保存しやすく、熱に強いビタミンCを持つ野菜もあるのですが、当時使われていた鍋は銅製だったため、銅とアスコルビン酸(ビタミンCの正式名)が反応してしまい調理過程で多くが失われました。
一方、中国やノルウェーの船では
「壊血病が発生しにくい」
との記録があります。
その理由を探るべく詳しく見ると、中国の船では緑豆もやしを栽培しながら航海しており、ノルウェーの船ではザワークラウト(キャベツの酢漬け)を常備していました。

緑豆もやしのアイディアに感服!
ザワークラウトのビタミンC量では不足を補うことは難しかったと思われますが、事前に一定量保持できていた人なら”維持”はできたと思われます。
一方もやしを栽培しながら航海した・・というのはすごいアイディアだったと思います。
まだ必ず摂らなくてはならない栄養素の存在が知られていなかった時代。
もやしは他の野菜や果物に比べるとビタミンCは多くありません。
多くないどころか緑豆自体にはビタミンCがありません。
しかし発芽によってビタミンCが生成されるのです。
そして大豆もやしより緑豆もやしの方が生成量が多く、スープなどに入れれば調理過程で流れ出たビタミンCも効率よく摂れるので、毎日のように食べていれば壊血病になるリスクは低かったと考えれます。

ビタミンCの少ないリンゴで壊血病の重症化が抑えられた理由
健康な人間(大人)の場合、だいたい900ミリグラムから1500ミリグラム程度体内に維持していると言われています。
水溶性とは言え、ある程度維持できるのです。
これが長期間に渡って(数週間から1年)500ミリグラムを下回るような欠乏が起きると、壊血病の症状が出ると言われています。
ビタミンCの消費量は、喫煙やストレスなど生活環境の要因で個人差があるので、同じ食事を摂っていても同じタイミングで不足になるとは限りません。
しかしリンゴを食べると、排出量が減るため体内で効率よく使えることが、冒頭にあげた研究で分かってきたわけです。
『リンゴやシードルのような少ないビタミンC量でなぜ症状が緩和されたか?』
という謎はリンゴが持つ独特の力であるようです。

犬猫も壊血病になるのか?
ヒト以外の多くの動物は肝臓でビタミンCを合成できるので、壊血病になることはまずないでしょう。
ただ肝臓に持病があったり、肝臓に負担がかかるようなことが続いた場合、合成能力が落ちることもあります。
そういう時は、新鮮なビタミンCが摂れる食餌を取り入れると良いでしょう。

数字に捉われない栄養摂取
こうしてビタミンCに限らず、様々な栄養素は吸収率と排出率が一定ではないため
『○○ミリグラム摂れば大丈夫』
『○○ミリグラムだと不足』
と言えるほど単純ではありません。
サプリメントや食事が満たされている現代の人間社会では、今でも時折壊血病が見られます。
大航海時代とは違い、ダイエットや偏食、過度のアルコール摂取や喫煙、加工度の高い食事、ストレスの多い生活などが原因で、ビタミンCの慢性的な不足や過度な消費が起こっています。
時代は変わっても、科学が進んでも、健康維持は一朝一夕にはいきません。
食事と生活環境を整えることが基本中の基本であることは変わりません。




