花粉症に悩む方が、年々増えているような気がします。
かく言う私も、数年前の夏に目がかゆくなり眼科を受診。
オオブタクサのアレルギーと判明しました。
イヌ・ネコアレルギーでなかったのは良かったのですが、スギでもヒノキでもなく、どっちかというとレアものを拾うあたり、我ながらへそ曲りだなあ・・・と。(^_^;)
取りあえず急性のかゆみは、処方された目薬で落ち着いたので、その後は毎年”甘茶”で乗り切っています。
甘茶はユキノシタ科の植物で、ガクアジサイに似た青紫色の花を咲かせます。
よくブレンド茶に配合されている”アマチャヅル”(スミレ目ウリ科)とは全く別物です。
甘茶の花
毎年4月8日の灌仏会(お釈迦様の誕生日)には、お釈迦様に甘茶をかけ、甘茶を頂く習慣があります。
甘茶を飲むと『厄災が防げる』とか『心が鎮まる』と言われましたが、子どもの頃は、全く美味しいと感じず、花粉症になるまで何十年も飲んでいませんでした。
ところが改めて甘茶を知ると、春先に飲む習慣があるのは偶然や迷信ではなく、科学的根拠が見えてきました。
甘茶は、新常用和漢薬集にも記載されています。
和漢=日本で開発された生薬
現在は主に漢方薬の苦みを緩和させたり、マウスウォッシュの原料にも使われています。もちろん味の調整だけでなく、優れた有効成分が判明しています。
1.抗炎症作用⇒これによって口臭や歯周病の予防にもなるので、マウスウォッシュの甘味にはぴったりです。
2.胃腸や胆嚢の調子を整え、流れを良くする⇒春の臓器 肝臓・胆嚢は、五行で”木”の要素を持っています。
木が健康に育つには、”土”が大切ですよね。
春は『芽吹きの季節』
若芽が出て、グングン成長して、花を咲かせます。
この木の生長エネルギーは、肥沃な土壌あってのことです。
そのため”土”を整えると、木(肝臓・胆嚢)全体の状態に影響します。
また”土”がどんなに良い状態でも、その栄養をきちんと吸収し循環させなくては、開花や秋の収穫にも影響します。
腎の働きで水分やミネラルを溜めこむ⇒冬
春の訪れと共に芽を出す準備をしている木にエネルギーを送る⇒冬土用(立春の前18日間)
発芽⇒春!!
臓器で”土”の要素を持つのは、胃や脾です。
肝臓は別名”沈黙の臓器”と言われるように、少々の不調では症状が分かりにくいです。しかし胃腸は比較的、自覚症状も出やすく、食欲や食べたい物の変化も分かりやすいと思います。
冬土用⇒春⇒春土用(立夏の前18日間)
この季節の流れで、冬の間蓄えた水分やミネラルを循環させ、有効に使うには、甘茶はとても向いていると言えます。
3.保湿⇒乾燥による喉の痛みはもちろん抗炎症効果もあるので、朝の一杯にも良いでしょう。そして入浴剤として使えば、肌の乾燥も和らぎます。
4.抗アレルギー作用⇒ステロイド剤のような即効性はありませんが、数日で目のかゆみが和らぎました。それから毎年、目がムズムズし出したらすぐに飲み始めています。
”和漢”として長く使われてきたことでも分かるように、昔は日本各地で作られていたようです。
しかし近年では岩手県九戸村(くのへむら)と長野県の一部地域だけになってしまいました。
九戸村は、岩手県北部で青森県とも近い地域です。
ここで今も無農薬・無肥料の甘茶が栽培され、ヨーロッパへも輸出されています。
甘茶のフィロズルチンという甘味成分は、砂糖の200倍の甘さと言われています。
そのため紅茶やハーブティにブレンドすると、自然な甘さが楽しめると健康を気遣う方々から大人気だそうです。
特に九戸産のものは、天日干しするだけではなく、手もみして自然発酵させています。
その上、雑味の原因となる種や軸をピンセットで丁寧に取り除いているので、非常にクリアな味わいです。
子どもの頃飲んだ味と全く違う印象なのは、その手間の違いなのか、個人的な味覚の変化なのか不明ですが、少なくとも”薬草茶”にありがちなクセがありません。
目がかゆくなるのは夏場なので、その時期は麦茶に混ぜて常備していますが、温かい緑茶に混ぜても大変美味しいです。
もちろんノンカフェインなので、お子さんからペットまで安心。
春先はかゆみを伴った肌あれを起こすワンちゃんがいます。
酵母菌などの感染がないのであれば、甘茶風呂や甘茶湿布をお薦めしています。
(掻きこわすような強い痒みがある場合は、お医者さんの指示に従い、症状が落ち着いてからお試し下さい)
舐めてしまっても安心。
むしろ嫌がらないようなら、フードにかけてもいいですよ。
またカーゼなどに浸して、歯磨きに使うのもお薦めです。