お問い合わせから№18~ティッシュペーパーを食べてしまいます
- 青い森工房
- 2月24日
- 読了時間: 4分

なぜティッシュや石など異物を食べるのか?
初めてその場面に遭遇するとびっくりするでしょう。思わず
「何食べてるの!」と叱ってしまうことも珍しくありません。
そして
『食餌が足りないのか?』
『何か栄養素が足りないのか?』
はたまた
『しつけの問題か?』
と悩む方も多いです。
しかし漢方では”胃の熱が上がっている”状態と見ます。

”熱が上がっている”と言っても、体温計で計って分かる”熱”ではありません。
自覚症状としては、胃がムカムカしていたり、胃液が上がってくるような不快感です。
そんな症状を感じている犬猫だと、口をペチャペチャさせることが増えたり、吐くこともあるでしょう。そして特にドライフードを食べなくなります。
このような症状に遭遇すると
・フードが合わないのではないか?
・気まぐれ、我がまま
と捉え、新たなフード探しを始める方がいます。
もちろんフードが体質に合わなかったり、何か精神的な理由で”吐く”とか”食べない”ということも起こります。
しかし外的要因ではなく、内的要因(この場合は犬猫自身の体で起こっていること)が原因で起こる不調は少なくないのです。

何故胃の熱が上がるのか?
そもそも生物が生きる上で、”熱生産”は重要です。
あらゆる臓器、筋肉、脳も活動することで”熱”が発生します。
それが”生きている”ということでもあります。
しかし熱が上がりすぎると細胞を傷めるので、体には適度に”冷やす機能”も備わっています。それを担っているのが”腎”なのです。
そのため”腎”が弱っていたり、なんらかの理由で”腎”のバランスが崩れていると的確に冷やせなくなります。
すると”腎”は胃と脾に支配されているので、”腎”の小さな異変はまず”胃”や”脾”の熱が冷やせなくなる・・という症状として表れやすいのです。

ティッシュを食べる時に起きていること
ドライフードは水分が少ないため、さらに胃の熱を上げます。
するとムカムカがひどくなるから食べなくなったり、吐いたりするのです。
ティッシュや石といったものを食べるのは、まさにそんな時で、胃液がこみ上げるのを抑え込みたくて食べてしまうと考えられています。
またそういった異物を食べなくても、食べ方が変わるタイプの子もいます。
やはり胃に食べ物を放り込んで、何かを抑え込むような食べ方になります。
このように”胃”の熱が下げられなくなったために、
・吐く
・食欲不振
・異物を食べる
という時に胃腸薬を使っても、その場限りの対処療法です。
こういうタイプの胃腸の乱れは、”腎”をケアしてあげないと繰り返します。

胃腸が弱いタイプ?
比較的よく吐いたり、季節の変わり目に胃腸の調子を崩すタイプだと”胃腸が弱い”と思ってしまいがちです。しか本当の原因は”腎”にあることも少なくありません。
猫は犬より比較的吐く方ですが、年齢と共に腎疾患のリスクが高まる動物であることを考えると”腎”の影響も考慮しつつ見守った方が良いかもしれません。
同時に”胃”や”脾”の疲弊や負担は、”腎”へのダメージにつながります。体内ではバランスを保つことで円滑に働けるので、一方の異変は連携している方にも影響します。
特に酸化した脂質や大量の化学添加物は”脾”を疲弊させるので、注意が必要です。
近年増えている膵炎も、胃や脾の酷使と繋がっていると考えています。

まとめ
”腎”は冬の臓器ですが、
・冷やす
・全身に水分を送る
という役目を考えると、夏や湿気の多い梅雨、”胃”と”脾”が活躍する土用など、冬以外にも負担がかかる時期があります。
特に近年、体温並みの猛暑やゲリラ豪雨など暑さと湿気の多さが堪える日が増えています。これらは腎に負担を与える環境です。
ティッシュなどの異物を食べてしまう子や、吐くことが増える時期、膀胱炎や結石などを繰り返す時期を思い返してみて下さい。
腎、胃、脾の連携が崩れている可能性があるかもしれません。