≪あけまして おめでとうございます≫
本年もよろしくお願いいたします
さて昨年の秋口から、26年ぶりの豚コレラの発生が報じられ大変気になっています。
最初は、野生のイノシシから豚に感染したとされていますが、防疫体制を強化していたにも関わらず、亥年を目前にしても感染経路が特定できない発生が続きました。
そしてついに自衛隊に派遣要請するまでの大規模感染が発生。
コレラの遺伝子型は全て同じで、野生イノシシの感染は続いているので、ワクチンを入れた餌を置くことも検討されているようです。
豚コレラは、例え感染豚の肉を食べても感染しません。
ただウィルスの一つとしては、注意深く見守る必要があると思っています。
例えば鳥インフルエンザも、
鳥⇒人
というダイレクトな感染確率は低いと思われます。
しかし
鳥⇒豚⇒人
と一度豚に感染すると、人間に感染しやすい形になると考えられています。
そんな豚のウィルスより、全く報道されない豚の餌がここ数年はるかに気になります。
日本ではまだ使用されていませんが、畜産が盛んな20か国以上で、塩酸ラクトパミンという成長促進剤を餌に混ぜています。
豚だけでなく、鶏、牛の餌にも混ぜていますが、昨年12月30日に発効したTPPによって、こういった食肉がより多く流通することを危惧しています。
スーパーでよく見かける食肉の輸入国である、アメリカ・カナダ・ブラジル・メキシコ・ペルー・タイ・韓国などはもちろん使用していますし、安心なイメージが強いオーストラリア・ニュージーランドも使用しています。
塩酸ラクトパミンは、赤身を増やす目的で使用されますが、非常に興奮しやすくなります。
成長促進剤と言っても、成分としてはホルモン剤ではなくアドレナリン作動薬です。
最近『ホルモン剤不使用』というラベルのお肉を見かけますが、そのような商品でも塩酸ラクトパミンは使用されている可能性があるというわけです。
ぜんそくや気管支炎、肺気腫などの治療薬として使われる塩酸クレンブテロールと薬剤のグループとしては同じです。
実際、こちらを使っていた時代もありましたが、それを添加して育てた肉やレバーなどが原因の食中毒が問題になったので、ラクトパミンに切り替えてきた経緯があります。
一応クレンブテロールに比べると残留しにくいとされています。
(残留しにくい=残留しない というわけではありませんので念のため)
2012年にWHO国際食品規格会議で、この飼料添加物は使用を許可されましたが、約160か国で未だ使用を禁止しています。
これに対し使用している国から
「WHOが認めているのに、禁止しているのは感情的、政治的な理由だ。科学的見地から判断すべき」
という声が上がりました。
しかし科学的根拠から塩酸ラクトパミン残留を問題視して、輸入禁止を続ける国(EU・ロシア・中国など)が相次いでいます。
中国などは自国の生産量では国内消費も賄えなくなっているので、アメリカからの輸入を止めたくないはずです。しかし何年か前にも上海で300人以上の中毒を出して大問題になりました。
そして2012年、問題はアメリカ国内でも看過できなくなり、ついにFDA(米国食品医薬品局)は
「塩酸ラクトパミンを添加した飼料を食べた豚21万頭以上が病気になったり急死した」との報告を出しました。
アドレナリン作動成分ですから、薬として使用すれば気管支を拡張させて呼吸を楽にする効果があります。
一方、副作用として交感神経が興奮した状態になりますので、血圧上昇や心臓の負担が増えます。
そのため心臓に持病があったり、高血圧の方が使用する際には慎重な判断の下用いられています。
FDAが調査した豚も、異常に動き回ったり、身震い、歩けない・・という行動が報告されています。
興奮によって異常に動き回ったかと思うと、心臓がバクバクして動けなくなる・・というのはこの薬剤の特徴から説明がつきます。
しかも過剰使用ではなく、規定量内で起こったことは、問題の深刻さを物語っていると思います。
それでも使用を止めないのは、早く体重が増えるため出荷まで、一頭あたりの餌が12㎏も削減でき、糞も12㎏も減るからです。
経費が安くなる⇒安く出荷できる⇒安く売れる
といかにも消費者の為の論理のようですが、都合の良いまやかしに思えて仕方ありません。
塩酸クレンブテロールほど急性症状が出ないとはいえ、この成分が残留した肉を食べるとめまい、無力感、手足の震えなどの症状が報告されています。
心臓や血圧に不安がある方には特に注意が必要な成分です。
また長期摂取で、染色体異常や悪性腫瘍の発生も報告されています。
少し前に
『健康的と言われていた”赤身肉”は発がん性がある』
と報道されて話題になりましたが、真意は
『塩酸ラクトパミン入り飼料で成長した赤身肉は発がん性がある』なのでは?と思っています。
人間用食肉でさえこのような状況ですから、ラクトパミン使用国のペットフード原料はそれ以上という覚悟が必要です。
同時に国内の農家さんが低価格競争に巻き込まれて、このような飼料添加物の使用せざるを得ない状況になることは、絶対に回避しなくてはなりません。