新日本昔話 りんごろう3


大きなクワを担いだ大男は、田んぼの近くまで来るとやおら地面を掘りはじめました。

「えっさ、ほっさ」

一心不乱にクワをふるっています。

「何をしているのでしょう?」

サルがりんごろうに尋ねました。

「う~む。畑を耕しているようにも見えん」

するとウミネコが

「私が空から様子を見て来ましょう」

と言って飛び立って行きました。

「じゃじゃじゃ!」

大男は山の方から田んぼに向かって、一筋の溝のようなものを掘っていることが分かりました。

一人であの長さを掘ったのかとウミネコが驚いていると、この辺の主である鷹がやってきました。

「これは珍しい客だのう」

「これはこれは鷹さん。この辺に鬼が出ると聞いて、りんごろうさんと鬼退治にやってきました」

「鬼だと?」

「ええ、あのクワをふるっている大男が鬼ではありませんか?」

「どうかな?ただあの大男は、去年もああして溝を掘っておった。そうしたら・・・あっちの田んぼをご覧なさい」

そう言って、鷹は大きな翼を広げて旋回すると、山の南側へ案内してくれました。

そこには青々と育つ稲が風に揺らいでいます。

田んぼはきれいな水で満たされ、稲の間をみずすましがスイスイ泳いでいます。

「よく育っていますね」

「そうだろう?あの男が掘る前は、しょっちゅう田んぼが干からびていた」

「不思議ですね」

ウミネコが空から見たことを報告すると、りんごろうは

「よし、もう少し近くから様子を見てみよう」

と言いました。

りんごろうと3匹は、それぞれの剣を片手に抜き足・・差し足・・・こっそり近づきました。

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