魚のいない海~マグロと鮭の大不漁
- 青い森工房
- 2020年2月1日
- 読了時間: 4分
更新日:2021年2月21日

今年も初セリトップ!大間のマグロ1億9320万円!!
報道でご存じの方もいらっしゃると思いますが、今期の大間は記録的な不漁です。
同時にここ数年、北海道~青森、岩手など広い地域で鮭、サンマ、イカの不漁が続いています。
こちらも今年の不漁は、歴史的と言ってもいいと思います。
サンマ、イカはマグロの好物なので、それらがいない・・ということは、当然マグロもその海域にやって来ません。
弊社のフードのメインタンパク質は魚なので、死活問題です。
((+_+))
今シーズンは価格上昇もすごいですが、それ以上に物がなくて手に入らないのです。
不漁が続く原因は?
海水温の上昇による海洋環境の変化、公海上での外国漁船による大量漁獲など、海洋資源の減少には、いくつもの原因が考えられますが、決定的な結論が出ているわけではありません。

三陸沖の鮭に関しては、2015年前後の不漁は想定内でした。
何故なら東日本大震災により、鮭の採卵・孵化場が津波で被害を受け、放流できない年があったからです。
鮭は2年~6年程度で元の川に戻ると言われ、平均すると3年くらいものが多いようです。
そのため2015年あたりの漁獲量が減るのは予想していました。
ところが2017年になっても、漁獲量は回復しないどころか年々減り続けているのです。
そもそも孵化場を整備して、放流を始めたのも、漁獲量の減少が見られてきたからで、実は最近の問題ではありません。
鮭弁当や鮭のおむすびなどは、どこでも定番商品なので、
『鮭の大不漁』
と言ってもあまり実感がないかもしれません。
しかし大量輸入でなんとか確保しているのが実情で、近海の天然物は本当に貴重になりました。

海水温は数十年間隔で、”寒冷期”と”温暖期”が起こり、その環境変化で獲れる魚の種類が変わることはあります。
しかし魚そのものがいない海・・になっているのは、海洋国家である日本にとって危機的な状況です。
昨年、国の研究機関の調査で、人工孵化して放流した稚魚と天然孵化した稚魚が、川に戻ってくる割合の結果が発表されましたが、それは予想外でした。
これまで鮭の不漁の原因の一つとして、稚魚が十分に育たないうちに外敵に食べられてしまったり、強い海流について行けない個体が多いからと考えられてきました。
そのため孵化場で天然の2倍程度の大きさになるまで育ててから放流してきたのです。
しかし水産研究・教育機構による調査では、川に戻る率に差がないと。
(@_@;)
今年から事態打開に向け、河川漁の関係者や十和田湖でのヒメマス養殖の関係者など、多くの知見を集結していくそうなので、なんとか希望が見えると嬉しいです。
マグロ不漁の打開策は?

大型回遊魚であるマグロは、養殖技術も出てきているとはいえ、問題の質がなかなか複雑です。
前述のようにマグロの餌となる魚類の回復も重要案件です。
しかしマグロは世界的に人気がある魚。
乱獲も不漁の原因の一つであるのは間違いないでしょう。
そんな中で資源保全のために、マグロの国際的な漁獲制限が実行されたのは一つ前進というところでしょうか。
しかしこれが一本釣り漁師さんを、非常に厳しい状況に追い込むことになっています。
ただでさえ日本近海のマグロが減っているのに、大型漁船に対する漁獲比率が高く、一本釣りは(マグロの大きさにもよりますが)年数本しか釣れないような制限量です。
海洋資源確保の為、大間では30㎏未満の若いマグロは、基本的にリリースしていますが、はえ縄漁などは、仕掛けて数時間後に回収に行くため、水揚げ時に弱っていたり最悪の場合死んでいることもあります。
すると30㎏未満でも揚げざるを得ないのですが、そのような小さなマグロは脂乗りも悪く、あまり値が付きません。

値は付きませんが、漁獲枠に算入されてしまうので、北海道では漁師さんの生活を守るため、死んでいた場合海洋投棄を勧めており、水産庁も頭を抱えているそうです。
これは非常にシビアな問題で、単純に道庁を責めて済む話でもないと思います。
間もなく迎える立春。
とりあえず今年は、例年のような恵方巻きの大量廃棄はなくなって欲しいです。
昨年から海苔も大不漁ですから。
海の近況を見ていると、”お金を出せば、何でも買える”世の中ではなくなるのも近いのではないか・・・と悲観的な気分になることもしばしばです。