犬猫の必須脂肪酸~質の良い脂質を適正なバランスで摂ろう!
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必須脂肪酸とは?
必須アミノ酸は、皮膚、筋肉、ホルモンなどを作る時に必要なタンパク質を構成するアミノ酸のうち、体内で合成できないアミノ酸のこと。
つまり食べ物から摂る必要があるアミノ酸です。
人間の場合9種類(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン)ありますが、犬は人の必須アミノ酸にアルギニンを加えた10種類です。
猫は犬の必須アミノ酸にタウリンを加えた11種類。
それと同様に体内で合成できない脂肪酸を”必須脂肪酸”と呼びます。

脂肪酸の種類
大きく分けて”飽和脂肪酸”と”不飽和脂肪酸”があります。
飽和脂肪酸には炭素同士の二重結合がなく、全て水素との結合で満たされている脂肪酸です。
飽和脂肪酸の摂りすぎは心疾患のリスクを始め、「健康に良くない影響を与える」と言われますが、実はこの脂肪酸にも利点はあるのです。
それは構造が『飽和=満たされている』状態なので、化学的に安定しているのです。
そのため空気に触れても比較的酸化しづらいのが特徴です。
バターやラードなど動物性の脂質や、ココナッツオイルなど植物性でも常温では固体の油(脂)はこの脂肪酸を含んでいます。

一方、不飽和脂肪酸はいくつかの二重結合を持っています。
『体に良い油』として有名なDHAやEPAを豊富に含む魚油や亜麻仁油、エゴマ油などは、この脂肪酸の形を持っていますが、熱や光に弱く酸化しやすい欠点があります。
つまり新鮮な状態で摂れば間違いなく良い脂質ですが、酸化してしまった状態ではかえって良くないのです。

必須脂肪酸の種類
不飽和脂肪酸の中でも体内で合成できない”必須脂肪酸”が大きく分けて二つあります。それはオメガ3とオメガ6です。
オメガ3系の脂肪酸は
・αリノレン酸(ALA)
・EPA(エイコサペンタエン酸)
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
などです。
オメガ6系は
・リノール酸
・γリノール酸
・アラキドン酸
犬の場合はαリノレン酸とリノール酸が必須脂肪酸とされています。
EPAとDHAに関してはαリノレン酸から合成されますが、複雑な過程を経る必要がありそれほど多く合成されません。
そのため魚が苦手だったりアレルギーがある時は、αリノレン酸を含む食材をできるだけ摂る必要がありますが、そうでなければ新鮮な魚介類を食餌に取り入れると良いでしょう。
またγリノール酸とアラキドン酸はリノール酸から合成されますが、これもそれほど多くありません。

猫の必須脂肪酸
猫の場合は、αリノレン酸、リノール酸、アラキドン酸が必須脂肪酸とされています。
リノール酸は主に卵、肉、魚に含まれている脂肪酸です。
またアラキドン酸は植物にほとんど含まれません。
従って特に猫は、動物性の食材が欠かせない体を持っていると言えます。
脂質やタンパク質が数字上、基準を満たしていても
「何から(=どんな食材から)作られた食餌か?」
というのが非常に大切な理由がここにあります。
「植物性原料の比率が高すぎると良くない」
と言われる理由が、単に消化吸収の問題だけでなく、必須脂肪酸の不足による体調不良を引き起こす可能性があるのです。

オメガ6は体に悪い?
必須脂肪酸とはいえ、オメガ6は
「血液ドロドロにする!動脈硬化の原因になる」
と言われることがあります。
これはあくまでも摂りすぎたり、オメガ3とのバランスが悪い場合です。
ヒトの場合の理想的な比率は
オメガ3:オメガ6=1:2
とされていますが、伝統的な和食メニューでも比率は1:4くらいです。
欧米の平均的な食事だと1:15~1:20くらいだと言われています。
ファストフードを中心にした食事だと1:25にもなります。
現実問題として食事の中のオメガ3:オメガ6を1:2にするのはかなり難しいし、どこまで健康に寄与するかは分からない部分もあります。
ただ欧米型の食事は、明らかにオメガ6の割合が高すぎるのは間違いありません。

犬猫の理想割合は?
犬に関しては日本の総合栄養食の基準にもなっている数値を出している組織AAFCO(The Association of American Feed Control Officials/米国飼料検査官協会)が、
オメガ3:オメガ6=1:30以内
という基準を出しています。
猫に関してAAFCOは基準を出していません。
しかしいくつかの研究で
オメガ3:オメガ6=1:5~1:10
が良いのでは?という説が出ています。
しかし猫に対する研究や人に関する研究から総合的に推察すると、犬の1:30以内という基準をどう受け止めて良いか分かりません。
もちろん『30以内』ですから上限が1:30であって、1:15でも1:20でも良いのでしょうが、個人的には少し高すぎるように思います。
犬の場合、犬種や「使役犬か愛玩犬か?」などによって猫に比べると条件が変わることも影響していると思いますが、今後もう少し研究が進むことを願っています。

まとめ
「太る」「体に良くない」と敬遠されがちな脂質。
しかしアレルギーや炎症を抑えたり、免疫力をサポートしたり、神経機能の維持に重要な栄養素の一つです。
特に成長期は脳や神経の発達に欠かせません。
適切な量を適切なバランスで摂れば中性脂肪やLDLコレステロールを減らし、血圧を調整する作用もあります。
脂質の種類と特徴を知って、上手に取り入れれば健康維持の大きな味方になる栄養素です。



