top of page

東洋医学から見る34~あまり知られていないあの薬の作用機序


漢方薬はゆっくり効く?

一般にそのようなイメージを持たれている漢方薬。


確かに現代医療では対処できない慢性的な症状に使われることもありますが、漢方薬が成立した頃はむしろ急性症状の対処が中心だったと思われます。

そのため症状や体質に合った薬を選べば、西洋薬に劣らない即効性を発揮する薬は多いのです。


例えば昨今のコロナウィルスを始めとするウィルス性の感染症や細菌性の感染症、それに伴う症状の対処に使える薬も多いです。



ところが

「漢方薬に抗ウィルス性を証明されたものはない」

という意見を見ました。

このような意見は、漢方薬に対する誤解からくるものです。


抗ウィルス性で効くわけではない

生薬の中には、抗菌性や抗ウィルス性を持つものもあります。


しかし生薬を組み合わせて一つの薬を構成する漢方薬は、”抗ウィルス性”⇒例えばウィルスの侵入を防ぐとかウィルスが取りつくのを防ぐ効果を狙っているわけではないのです。



漢方薬は本来備わっている免疫力や、バランスの崩れている部分の調整力を引き出す薬です。


人も動物も、長い進化の過程で感染症を始めとした様々な環境に対応してきたから今があります。

そのため、本来の備わった免疫力を呼び起こすことで、感染症と戦う助けをするのが漢方薬です。

病名で処方が決まるわけではない

漢方薬について

『抗ウィルス性がないのに、なぜその薬が効くのか?科学的根拠がない』

という意見をある医療者から聞いたことがあります。


また『この薬の適応症(病名)・・という明確な基準がないのが使いづらい』

という意見も聞きます。



確かにこの辺が、現代医学の考え方ではなかなか理解しづらいのかもしれません。


・下痢⇒下痢止め

・熱⇒解熱剤

・咳⇒咳止め


という処方の仕方が一般的で、下痢の原因にしても

「お腹の風邪(ウィルス性腸炎等)ですね」

という原因追及はあっても

「なぜお腹の風邪になったのか」

という所までは考慮しません。


しかし東洋医学ではこの

「なぜお腹の風邪になったのか?」

を中心に考え薬を選んでいきます。


例えば、ストレスで一時的に免疫力が落ちてウィルスに感染したのか。

体の冷えを取り除くための反応として、水分排出(=下痢)をしたのか。



下痢一つとっても原因は様々です。


しかも普段から胃腸が弱くて下痢しやすい体質と滅多にお腹を壊さない体質とでは、漢方の選択薬が違うのは当然で、一律「下痢=○○」とはなりません。

駆虫薬がウィルス性感染症にも効くわけ

そんな考え方に慣れているせいか、犬猫にはフィラリア予防薬として身近なイベルメクチンが

『新型コロナウィルスの治療薬だけでなく予防薬としても有効』

という情報が出た時も、特段驚きませんでした。



元々マクロライド系抗生物質の研究の中で見つかった物質です。



イベルメクチンは土壌にいる放線菌が作り出す物質オリゴマイシンが含まれていますが、この物質は細胞内のミトコンドリア(エネルギー生産をする場所)の活動を阻害します。


ただ哺乳類にはない特殊なイオンチャンネルを持っているので、犬猫を含め我々の細胞には悪影響を与えません。その代わり、虫などの節足動物や細菌などには効果を発揮します。



ただウィルス感染した細胞やがん細胞など、我々の細胞に成りすましている細胞には入りこめるようなのです。



そして最新の研究ではRNAウィルス感染すると、細胞内のミトコンドリア上にあるタンパク質がウィルスに対する反応の強さを調整していることが分かりました。



今回の新型コロナウィルスはRNAウィルスの一種で、感染後、免疫暴走が起こって重症化する報告があります。


イベルメクチンの『ミトコンドリアの活動を阻害する』という作用機序を考えたら、まさにこういった免疫暴走を止めるには最適の薬で、ワクチンが確保できなかった国がこの安価な薬で感染を抑制できているのは偶然ではないと考えます。



例えばポルトガルなどは、ワクチン接種後の再感染が拡大しているヨーロッパの中で、国民の大半がワクチン接種できなかったにも関わらず、感染がひろがっていません。

ポルトガルはイベルメクチンの投与を積極的に進めた国の一つです。


どれがデマ?

日本発の素晴らしい薬を、正当に評価できないのは非常に残念です。



オンコセルカ症という線虫によって引き起こされる人の感染症治療薬としても数十年に渡り使われ、多くの人を失明から救ってきました。


その間、子供からお年寄りまで使用され続けてきましたが、副作用らしい副作用も見られず、この病気そのものが撲滅間近になりました。



ところが先に駆虫薬として世界中に広まったために

『イベルメクチン=動物用薬・駆虫薬』

というイメージがついているのでしょう。



ネットなんかに

「イベルメクチンを飲んで死んだ」

という噂が出ていますが、ワクチンも薬も確保できない地域の方が、家畜用の注射液を飲んだのが原因というのが真相です。


そりゃ、注射液を飲んだら動物用だろうが人用だろうが、悪影響が出ないわけがありません。



使用実績のない新薬がスピード認可されたのに、この薬の緊急使用許可は

・治験の仕方が不十分

・抗ウィルス薬としての安全性テストが不十分

といった理由で下りていません。



イベルメクチンの実績と作用機序を理解していれば、この薬を排除する理由が分かりません。

bottom of page