
おそらくどこかで一度は耳にしたことがある組曲に、表題のような副題がついた音楽があります。
正式なタイトルは『動物謝肉祭』。
フランスの国民的大作曲家サン=サーンスの作品ですが、現代ではこんなに有名なのに、サン=サーンスが存命中は非公開の作品でした。
なぜなら他の作曲家の曲をパクリまくっているから(^_^;)
友人のチェリストが催すプライベートなパーティで演奏するために書かれた、言ってみれば”お遊び”作品です。そのためパーティーが盛り上がりそうな、皮肉っぽい笑いをちりばめた曲が並んでいます。
こんな暴挙?!が許されたのも、サン=サーンスに対する当時の音楽界の評価が伺い知れますね。
なんたってモーツァルト以来の神童と言われた御人。
嘘か真か2歳でピアノを弾き、3歳で作曲したという逸話もあります。
最初の交響曲を16歳で書いていることを考えると、3歳で作曲したかはともかく、大変な天才だったのは間違いないでしょう。
彼の場合、その飛び抜けた才能は音楽に留まらず、絵画、数学、天文学などにも精通し、大変な博識だったことです。
それだけにちょっと斜に構えたところがあり、「嫌味な人だ」というような人物評も残っています。
その性格が如何なく?!発揮された『動物謝肉祭』の初演は、サン=サーンス自身がピアノを弾き、大いに盛り上がったようです。
その後も数回、非公開で演奏された記録があります。

ただしバレエの小品としても世界中で愛されてる”白鳥”のスコアだけはサン=サーンスが存命中に出版されています。
この作品だけはサン=サーンスの完全オリジナルだったからです。
”白鳥”だけがちょっと異色に聴こえるのは偶然ではなかったのですね。
そもそもパーティーを主催した友人はチェリスト。
ふざけた曲ばかりではなく、最後の”白鳥”で、友人の美しい独奏を聴かせるために組み込んだのでしょう。
”動物”と銘打ってあるのに犬も猫も出てこない!
全14曲で構成されていますが、身近な犬と猫が出てきません。
一方、白鳥を始め鳥は≪雌鶏と雄鶏≫≪森の奥のかっこう≫≪大きな鳥かご≫など4曲もあります。
序奏と終曲を合わせて14曲ですから、登場する動物12曲のうち4曲となると作品の1/3が”鳥”。
サン=サーンス先生、鳥オタクですか?と思ったりもしましたが、そもそもちょっと皮肉っぽい視線で書かれた作品。

例えば運動会の定番曲オッフェンバックの『天国と地獄』を超スローモーに演奏した曲に『亀』というタイトルがついています。
あるいはベルリオーズの『妖精のワルツ』を低音響くコントラバスに演奏させ『象』。
ピアノで指の練習曲を繰り返す曲に『ピアニスト』など。
(ま、ホモサピエンスも動物っちゃ動物ですが)
なるほど・・・そういう視点で見ると、犬や猫を小馬鹿にするような曲は書いていません。
サン=サーンス先生は、犬や猫が好きだったのかもしれません。
(※いち愛犬家・愛猫家の希望的感想です)

世の中ウィルスの影響で、日々閉塞感が増していますが、この機会に音楽鑑賞はいかがですか?
家事の合間にも美しい音楽があると、なんとなくテンポ良く進むことがあります。
お子さんにも親しみやすいメロディですし、「象さん!」とか「亀さん!」と音楽に合わせて動物ごっこをして体を動かすのも楽しいかもしれません。
また犬や猫にとっても、人間の精神状態は重要で、ストレスが伝わり体調を崩すことがあります。
大切な家族のためにも、色々な力を借りてなんとか乗り切りましょう!
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