秋になり、乾燥してくると喉がヒリヒリしたり、せき込みやすくなるのは体感しやすいですが、もう一つ肺を中心とした呼吸器全体に負担がかかる理由があります。
それは気温の低下と共に、皮膚の毛穴が閉じてしまうこと。
暑いうちは、余分な水分は汗として放出できますが、毛穴がキュッとなる季節は、入浴や運動でもしないと難しくなります。
そこで体は、鼻水・咳・痰という形で放出しようとするんですね。
秋の体の声:余分な水分は飛ばしたいけど、体液が不足するのはマズイしなあ。。。
熱なんか出るような風邪やインフルエンザに罹ったら、さらに体液が不足します。
こうなると腎臓の出番です。
腎臓にやってきた水分をきれいにして、体内に戻す量を増やします。
すると必然的に尿としての排出が減ります。
そこで十分な水分補給をしないと、匂いのきつい濃いお小水になります。
この状況は腎臓の悲鳴みたいなもので、放置すると大変なことになるので、薄めたスポーツドリンクなど、吸収率の良い水分を大至急補給して下さいね。
ところが腎臓は肺のエネルギーで活動していますので、肺がダメージを受けている時は全力投球できないんですね。
そこで前回ご紹介したような、桃や梨の出番です。
前回のブログ⇒秋の食餌(果物編)
水分調整の手伝いをしてあげましょう!
ちなみに腎臓は『恐』という感情と関係しています。
やたら怒りっぽいとか、イライラする時なんかは肝臓が疲れているなど、肝臓の不調から起きると考えられていますが、腎臓は『恐』。
最近パニックを起こしやすい、急に不安感に襲われるというような時も、腎臓ケアの合図だったりします。
こんな森の中で空気を胸いっぱいに吸うイメージで
そんな時は是非深呼吸してみて下さい。
「今どきそんな古典的な方法・・」と思われるかもしれませんが、腎臓と肺の関係を考えると納得です。
日照の少ない時期に気分が落ち込みやすくなることがあります。
最近は”季節性うつ”とも呼ばれていますが、これなども脳内ホルモンバランスの崩れだけでなく、この腎臓と肺の関係も考えられます。
体調不良というのは、様々な要因が複雑に絡んで起こるんですね。
もちろん長く続く不調は、専門医に診て頂くことが大切ですが、深呼吸や食事など自分でも簡単試せることがあります。
「ああ、腎臓からガス欠のお知らせだ。肺を大きく広げてエネルギー注入してあげないと!」
ではこの時期を乗り切るのにお薦めの食材(野菜編)をご紹介します。
①里芋
薬膳では、食材の温とか涼という性質も大切ですが、五味(酸・苦・甘・辛・鹹)のバランスも考慮します。
これはその中でも『辛』の食味を持つ食材は、犬猫の食餌となるとハードルが高いんですね。
なぜならいわゆる”薬味”といわれる食材が多く、例えば春だとあさつきや新玉ねぎ、ニラ。夏ならニンニクやトウガラシ、らっきょうなど。
そんな中から犬に使えるのは春なら三つ葉。夏ならシソくらいでしょうか。
そして秋は里芋!
イモ類は『甘』に属するものが多いのですが、これは貴重な『辛』。
そんなに大量に摂る必要はないけど、このグループの食材がちょっと入ると、一気にバランスが良くなるんですね。
人間用の料理なら、味が引き締まりますよね。
昔は生の里芋をすりおろして、火傷や腫物の外用薬にも使っていました。
縄文時代前期には、すでに栽培していたと思われるので、かなり食習慣の長い食材です。
『辛味』の食材は、比較的体を温める傾向が強いのですが、さといもは『平性』。
どんな体質にも使いやすいし、合わせる食材でよりカスタマイズしやすいです。
血行を良くして水分代謝を上げ、消化を促進。
外用で使われていることからも分かるように、皮膚や粘膜を保護してくれます。
②くり
栗もまた、甘みがあり犬が好む味ですが、栗の食味は『鹹』。
秋の食材で『鹹』の要素を持つものは少ないので貴重です。
青森市の三内丸山遺跡からも出土していて、縄文時代から栽培し、土器に入れて保存していたようです。
栗は胃を丈夫にして消化を助けます。
また、脾を鍛え正常に働けるようサポートしてくれるんですね。
そして前述したような、肺からのエネルギー不足で腎臓がフル活動できない時の助っ人にもなってくれます。
胃・脾⇒肺にエネルギーを供給
肺⇒腎臓にエネルギーを供給
つまりこの関係を保つのに、絶妙な働きをしてくれるのです。
さらに胃・脾に影響される筋肉、腎臓に影響される骨も強化してくれるので、足腰の機能を維持したいシニアにはぴったり!
ざっとまとめると
・消化機能を上げる
・脾を鍛えて免疫力も上げる
・運動が十分に出来なくて肺をしっかり使えない時の腎機能をサポート
・脳機能も上げる
”季節の秋”に求められるパワーはもちろん、”人生の秋”にも必要なパワーがいっぱいです。