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仔猫ソフィの物語


ソフィ

丁度、カラスが子育てしている時期でした。

都会の住宅地には珍しいテニスコート4~5面は取れるであろう広い公園。

大きなユーカリの木が何本もあり、まるで小さな森のよう。

・・ということは鳥たちも巣作りしやすい環境なのですが、そのど真ん中でミャーミャー鳴いていた仔猫。

茂みの中でもなく、公衆トイレのアプローチで一匹で鳴いていました。

近くに親や兄弟の気配もなく、孵ったばかりのヒナを抱えるカラスたちは、木の上から様子をうかがっています。

その日は公園の近くに用事があって、偶然通りかかった私は、犬連れだったこともありリードを短く持ち直してそっと近づいてみました。

保護して1週間目

すると両目に瞬幕が張り付いたままで、目ヤニも大量。そのため良く見えないらしく逃げるわけでもなく首を伸ばしてさらに鳴き続けました。

痩せていて毛はボサボサ。

鼻水もだいぶ出ているようで、それで濡れた鼻や口周りは泥だらけです。

耳の後ろは赤く炎症を起こしているし、もしかしたら親が置いていったのかもしれません。

それまで猫を見かけると、追いかけたがることもあった茶々丸。

そ~っと近づくと、頭からお尻まで匂いを嗅ぎ、おでこをひと舐め。

仔猫の方は、親が迎えにきてくれたと思った?!のか、さらに大きな声で鳴きました。

すると茶々丸は、仔猫の横にピタ~っと体を寄せ地面に伏せてしまいました。

『えっ?!』

明らかに病気に罹っていて、間違いなくノミ・ダニもついているであろう仔猫から引き離そうとしても、茶々丸は地面に踏ん張って動こうとしません。

無理やり引っ張っても、見たこともない目でこっちを見上げ、ガンとして動かない。

2週間後

お気に入りの場所が出来て、少しリラックス

茶々丸「この子、ここに置いてく気?」

「近くに親がいるかもしれないでしょ?」

茶々丸「でもこのままじゃ、死んじゃうよ」

「うん病気みたい」

茶々丸「カラスだっているし」

「でもさあ、ウチはあなたがいるから猫は飼えないでしょう?」

茶々丸「僕のせいにするわけ?」

「いや、そういう訳じゃないけど・・・」

傍から見たら、真昼の公園のど真ん中で、地面に向かって何やら話している私は、アブナイ人だったに違いありません。

茶々丸の強い抗議に負けて、仔猫を抱き上げると、彼は何事もなかったようにすたすた歩き出しました。

一か月後

お気に入りの場所が増えて、1人遊びも

「とりあえず先生に診てもらおう」

と言うと、茶々丸は迷うことなく動物病院へ向かいました。

(後にも先にも自分から病院へ向かったことはありません(^_^;)

散歩の時でさえ、病院のある通りは避けようとするくらい)

動物病院の扉に率先して入り、診察室にもついて来ました。

そして先生の一挙手一投足をガン見。

(普段は出来るだけ先生を見ないようにするのに)

茶々丸「ちゃんと診てよね。赤ちゃんだからね」

獣医さん曰く、歯の生え具合から生後5週くらいとのこと。そして

「いくら野良でも、こんなにたくさんの病気がある子は見たことない」

とのことでしたが、簡単な目の手術をして、ネコ風邪や外耳炎の治療、ノミダニ駆除、寄生虫のオンパレードだったお腹もきれいになり、チョコチョコ走りまわるようになった2ヶ月後。

何故か里親募集を始めたとたん、我が家以外の人間を見ると逃げ回るように・・・。

茶々丸「うちの子になりたいんだって」

推定誕生日あたりに、聖女マグダレナ・ソフィア・バラの日があるので、今後も健康に育って欲しいとの願いをこめ”ソフィ”と名付けました。

それから早5年。

ソフィ嬢は茶々丸が大好きで、一番信頼しています。

一年半後

自分の寝床にソフィが寝ていても怒らない。

むしろ起こさないよう

空いているスペースにそっと入る。

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