食餌中の繊維の適正量とは?~繊維の種類によって違う効果


『食物繊維』はお腹の健康を保つために大切な存在であることは多くの方がご存じだと思います。


しかし、その『繊維の種類』についてはあまり論じられていないように思います。



例えばダイエット用のフードには食物繊維を多く含んでいますが、その種類はセルロース粉小麦ふすま、そしてビートパルプなどが中心です。


セルロースは植物の細胞壁を構成する非でんぷん性多糖類を指し、植物の細胞壁の構成成分のうちセミロース以外の部分はヘミセルロースと言います。



それらによって胃が膨らみ、食欲を抑え空腹感が起きにくいと言われています。


人間の場合、確かに一時的に胃が張った感じがしますが、犬猫の場合そう感じられるまで時間をかけて食べるわけでないので、どうでしょうか?



こればっかりは本犬や本猫に聞けたら聞いてみたいですが、少なくとも私の知る限り、ダイエット用フードだけで減量に成功ケースはほとんどありません。




ただ胃が膨らむ不溶性食物繊維には、炭水化物やタンパク質、そして脂肪の吸収を低下させるという側面はあります。

むしろそういう部分では効果が望めるかもしれませんが、ただこれは表裏一体で、ビタミン・ミネラルの吸収率も低下します。


『だからビタミン・ミネラルを多めに添加している』

ということかもしれませんが、ただでさえ消化吸収が悪い合成ビタミンや合成ミネラルを多くするのが、どれほど役に立っているか不明です。



手作り食の繊維量約1.4%は本当に少ないのか?

ふすまを多く含む穀物や豆類を特別多くしない限り、手作り食の繊維量はだいたい1.4%程度になります。

人間の必要量と比較すると少なく感じるかもしれませんが、この繊維量の手作り食で便秘を始めとした胃腸問題を起こしたことを見たことがありません。

(便秘や下痢が解消したケースはあっても)



一方多くのペットフードメーカーでは最適繊維量を1.4%~5%としています。


そのため

『手作り食では繊維量がギリギリでお腹の健康には足りない』

という意見もあるのでしょう。



ただ動物栄養学の世界では、肉食をする動物の場合、1.4%やそれ以下の繊維量でも胃腸トラブルは起こらず、繊維は十分だと考えられています。



そしてペットフードによく添加されるセルロースなどの一部の不溶性繊維量を必要以上に増やした時の効果を証明する科学的根拠は、実は意外なほどありません


結腸内壁の栄養源となる繊維

だからと言って、繊維が不必要というわけではありません。



腸内で発酵が起こる繊維は摂りすぎないことが大切ですが、発酵が起こらない(もしくは起こりづらい)繊維・・・例えばセルロース粉や小麦ふすまが多いと、糞便量は増えるものの腸内細菌たちのエサにはならないのです。



『腸内で発酵が起こらない(起きづらい)繊維』

というのは、一瞬犬猫にとって良い繊維のように聞こえます。



しかしエサにならない繊維では、腸内内壁を守る短鎖脂肪酸を作ることができません



逆に短鎖脂肪酸を作る発酵性繊維は果物などに含まれる繊維であるペクチンの他、大麦、キャベツなど一部の野菜に含まれる繊維も該当します。



これらの多くは”水溶性繊維”とも呼ばれるため、パッケージ表記にある”粗繊維”ではなく、炭水化物の方に含まれています



これらは確かに摂りすぎると、短鎖脂肪酸が増えすぎて下痢の原因となりますが、腸の内壁を保護し、内壁細胞の栄養源にもなるので必要です。


またペクチンの他、ゴボウなどに含まれるイヌリン海藻に含まれるアルギン酸ナトリウムやフコイダンなどの水溶性繊維は、腸内でゲル状になるため、食後の急激な高血糖を起こりづらくし、インシュリンの過剰な消費が抑制されます。



そのためこういった種類の繊維は、毎日少しずつ取り入れることが大切です。


繊維も何から摂取するかが重要

脂質やタンパク質同様、繊維も数字で判断すべきではありません。


繊維もまた、その種類=質が非常に大切です。



ただ糞便量を増やすだけの繊維が腸内で発酵しないということは、腸内細菌に利用されないという意味で、良い繊維と言えるかは疑問です。



腸内細菌に利用されない・・ということは、セルロースなどの繊維によって食欲が抑制される・・という話にも強く疑問を感じます。



なぜならお腹いっぱいなのにまだ何か食べたい・・という欲求の原因に、腸内細菌叢の乱れが無関係ではないからです。

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満腹感や満足感を感じる合図はカロリーではなく、腸内細菌の満足度の有無とも言えます。


生体での現実的な栄養利用を考えるならば、微生物の理解が不可欠です。



そして腸内細菌叢に栄養を供給したり、腸内内壁を助ける発酵性繊維の多くは”粗繊維”ではなく”炭水化物”に含まれているため、”粗繊維”の数字に捉われすぎないことも大切です。




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