補助犬への誤解~コロナ禍で新たな問題も


2003年10月に全面施行された身体障害者補助犬法。

そして2016年4月施行された障害者差別解消法によって、飲食店を含む様々な施設での受け入れが義務化されました。



しかし法律の解釈を誤解していたり、店舗の一部従業員にきちんと伝わっていなかった・・というような事情から、未だに受け入れ拒否が日常的です。



また店舗・施設側は理解していても、店舗に居合わせた客が「犬が苦手」とか「アレルギーがある」というようなのクレームからトラブルになるケースもあります。



最近聞いた話だと、コロナウィルスを理由に入店を拒否されたというケースです。


ケース1:「犬もコロナウィルスにかかる。犬から感染するかもしれないから困る」

犬は犬コロナに罹ります。ただ犬コロナは人間にうつりません。

また現在流行している新型コロナウィルスに人から犬に感染したケースは、確かに海外で数件報告されています。しかし犬から人間が感染したケースはまだ報告がありません。

万が一双方向に容易に感染(飛沫や接触等)するような病原体となれば、狂犬病以上に危険なウィルスと言えますが、世界的にそのような報告も兆候もありません。


ケース2:「ただでさえ感染対策が大変な時に、犬なんかいれたら掃除が大変」

犬=汚い というイメージが拭いきれないのだと思います。

特に飲食店の方は、日頃から衛生管理に気をつけられていますから、不安だと思います。



しかし世界的な調査でも、補助犬の体に付着していた微生物数は、スマホに付着している微生物数よりはるかに少ないです。また微生物の中に、病原性を持ったものは出てきません。

むしろ人の服などから検出される方が多いです。



これには理由があり、補助犬のユーザー(使用者)は、犬の衛生・行動・健康の管理の全責任を負うことになっているからです。


日本は特にその基準が厳しく、国が定める試験を合格しないと使用できません。

世界的にもこれほど厳しい基準で運用されているのは、例がないと思われるほど厳しいです。

そのため日々管理が徹底され、犬が病原菌をばらまくどころか、他の買い物客に吠えたり、食品売り場の唐揚げをつまみ食いするなんてことはあり得ません。



ケース3:「保健所から拒否できると聞いた」

拒否できません。

もしそのような話を聞いたら、誤解か無責任な噂話でしょう。

万が一保健所の職員からそのような説明を受けた場合は、該当地域の福祉課に必ず確認してください。

『拒否店舗に登録できる』などとうたって、登録料を搾取するなどの詐欺の可能性もあります。


ケース4:「犬の体もアルコール消毒してもらわないと困る」

犬の体にアルコール消毒は絶対にやめて下さい。

とても有毒な成分が含まれています。

猫などは毛づくろいするので、消毒液が付いた手で撫でたり触ったりするのも気を付けて下さい。

みんなが疲弊している

感染症対策に疲弊しているのは理解できますが、補助犬の使用者は我々以上に疲弊されています。



例えば店舗に置かれている消毒液を探すのも一苦労。

タブレット型体温計に気づかず、入店したら

「計ってからでないと入店できません!」




白杖や盲導犬連れていたら、分かるでしょう?

もっと違う言い方できないの?・・と話を聞くうちに、顔知らぬ店員さんにオバさんはイラっとしてしまいました。



オリンピック・パラリンピックが開催されるとなれば、この補助犬の問題は避けて通れませんが、このような状況で大丈夫でしょうか。

補助犬はパラリンピックの選手だけでなく、観客も同伴することが想定されます。

(もっとも、今回は無観客で開催される公算が高まりましたが・・・)



また日本での補助犬の定義は、盲導犬・聴導犬・介助犬の三種のみです。


海外では低血糖やてんかん発作を事前に知らせる『アラート犬』というのもいます。

日本では育成が始まったばかりで、補助犬として認められるかはこれからでしょう。



しかしこのようなアラート犬を同伴して来日される方々が、ホテル、飲食店、公共交通機関の利用、また観光地に行った場合を想定しているでしょうか。



国内の補助犬対応でさえ、行きわたっていない今、まだまだ課題が多いと思われます。



『ペット可にしたら掃除が大変になったので、補助犬の対応もやめたい』という宿泊施設もあったそうですが、ペットと補助犬は全く違います。

(もちろんペットでも補助犬なみにしつけや衛生管理が徹底されている子もいます)



また『シートが汚れて、次の客を乗せられなかった』という理由で乗車拒否したタクシーもあったそうですが、補助犬は足元に待機し、シートには乗りません。

もし本当にシートに乗っていたのなら、補助犬を名乗ったペットだった可能性もあります。



関係団体も常に情報発信や研修対応、資料配布など尽力なさっていますので、是非不安なことや分からないことはお尋ねしてはいかがでしょうか。


同伴拒否は、犬の拒否ではなく、障害をお持ちの方を拒否することと同じです。

目の代わり、耳の代わり、体の一部の代わりなのです。