東洋医学から見る30~線虫感染症にも使われてきた山椒


イヌザンショウの名前の由来は?

青森でも山椒の実の収穫期を迎えました。

ミカン科の木特有の良い香りがしますが、枝はチパチパとトゲがあり油断すると、髪の毛や衣服をひっかけ

「いてぇ~」

となります。(;^ω^)



山椒はその香りの良さも特徴ですが、中国で一般的な山椒は『花椒』と呼ばれ、あのすっきりとした香りがなく種類の違う山椒です。



中国に山椒はいくつか種類があり、その一つに『青椒』がありますが、これは日本でも自生しているイヌザンショウに当たります。




犬猫ブログとしては、なぜ『イヌザンショウ』と名付けられたか気になり調べたところ

『臭いから』

だそうで・・・。(T_T)/~~~


香りの良さで、犬が体を擦り付けるから・・的な由来を期待してたのでがっかり。



まあ名前の由来はともかく、食品としても、和漢でも漢方でもとても重要な役目をはたしている山椒が本日のテーマです。


別名ジャパニーズペッパー

欧米でも中国の山椒とは別物として認識されています。


しかし漢方薬としては、明確に分けられていません。

一方で和漢としては、山椒とイヌザンショウは別物の生薬として登場します。



薬膳としては脾と肝に作用し、上昇しすぎた気を下げて胸のつかえを取ったり、お腹の冷え取り、腫れやむくみ取りにも使われます。



そしてあのかんきつ系の芳香とピリリとした辛みは暑さや湿気で低下した食欲を取り戻すには適しています。

食品として取る場合は、上の写真のようにあく抜きして軸を取ったものを使いますが、生薬として使う場合は、さらに種を取り果皮の部分だけを乾燥させて使います。



うなぎの薬味として使われる山椒も、種を除き乾燥させたものを粉末にしているので生薬に非常に近いです。



本来うなぎの旬は秋から冬ですが、平賀源内が夏場に売り上げが下がるうなぎ屋さんのために作ったキャッチコピー「土用の丑の日にはうなぎ」が現代にも浸透しているので、夏場に食べる方が多いですよね。



ただでさえ暑さ疲れで食欲が落ちている時に向いている食材とは言えないのですが、誰が始めたか『山椒をかける』ことで薬膳的に夏向きになりました。


つまり

・お腹の冷えをカバーし

・食欲を増進させ

・暑さ疲れで弱った肝をサポート

・暑さからくる免疫力の低下をバックアップする脾に作用

などたった一振りの山椒には多くのパワーがあります。


なんなら山椒あってのうな重と言っても過言ではないでしょう。

漢方薬としての山椒

冷えからくる腹痛や、手術後に起こる癒着や腸閉塞などにも使われている漢方薬・大建中湯(だいけんちゅうとう)の重要な構成を担っているのが山椒です。



また回虫症の治療に使われる烏梅丸(うばいがん)という漢方薬にも山椒は使われていますが、古くから日本の民間療法でも『虫下しには山椒』と言われ使われてきたようです。



現在、日本で回虫症は激減しましたが、世界的には毎年8億人が罹患し、そのうち2000人ほどが亡くなっていると言われています。

線虫感染症のなかではいまも最も多いのです。



感染例の少ない日本では、鳥わさやレバ刺しを食べたことによる感染がほとんどですが、ほとんどの哺乳類がそれぞれを宿主とする回虫がいます。


そのため犬猫や家畜、野生動物の糞にいた回虫の卵から経口感染する可能性があります。


そのためキャンプなどで生水を飲んだり、ペットのトイレ処理後、手をよく洗わなかったことが原因となることもあります。



犬回虫は成犬の体内では成虫になれない

非常に珍しい特徴ですが、犬回虫は成犬の体内で成虫になれません。

そのため成犬が感染してもほとんど症状がでません。



しかし5か月以下の幼犬の体内では成虫となり、早い段階で駆虫しないと命に関わる場合もあります。



また感染経路として母犬の筋肉に潜んでいた幼虫が、胎盤やお乳を通して感染するとされるため、次世代の為にも幼齢の犬の駆虫は重要です。



またさらに問題なのが、この犬回虫がヒトを含む他の哺乳類に感染した時です。



人間の場合は『トキソカラ症』と呼ばれ、回虫の幼虫が目や内臓、神経系統にも入り込み極めて重篤な症状になります。



最近都心でも目撃情報があるアライグマが保有するアライグマ回虫などは脳にも侵入しやすいと言われるため、公園の植え込みに落ちている正体不明の糞は要注意です。

山椒は犬に食べさせても大丈夫?

特に問題となる成分は見つかっていないので、食べさせても問題ありませんが、食べないと思います。


間違って食べてしまっても、あのしびれるような辛みに二度と近づかなくなるでしょう。


現在は、良い虫下しがいくつもあるので、あえて山椒を使う必要もないでしょう。




日本で線虫感染症は少ないですが、犬猫の回虫が他の哺乳動物にかかると重篤なことになることもあります。


まず犬猫に感染させないことが大切で、特に幼齢期の駆虫が生涯にわたる健康と、人の健康にも影響します。