日本では食用として利用されること多し
日本には約60種ほどのアザミが存在しており、世界からみても”アザミ大国”です。その中でもノアザミ(Cirsium japonicum)は日本の固有種です。
茎や葉にトゲがあり、あまり好かれていない植物かもしれませんが、トゲが気にならない若葉はお浸しなどで食べられます。
また信州などで”山ゴボウのお漬物”をみかけることがありますが、本当のヤマゴボウは有毒なので食べられません。
販売されている”山ゴボウ”は”モリアザミ”の根です。モリアザミやハマアザミの根は味も見た目もゴボウに似ていて美味しく頂けます。
最近はネットで『ヤマゴボウ』と検索するとすぐに写真が出てきたり、画像から検索することもできますが『ヤマゴボウ』とか『ヨウシュヤマゴボウ』と出てきたらご注意下さい。
「ああ、あの漬物の!」
と早合点して食中毒を起こす事故も起きています。
犬猫用サプリも人気
種類が多いせいか、日本各地で使われ方が微妙に違うのが興味深いところです。
世界では約300種ほどありますが、各地で葉や根を生薬として使っています。
漢方では”小薊”(しょうけい)と呼ばれ清熱涼血薬に分類されていますが、この生薬が”ノアザミ”という説や”アレチアザミ”という説もありますが、主に止血、消炎、解熱、健胃、解毒に使います。
一方西洋では古代ギリシャ時代から、肝障害全般に”ミルクシスル”と呼ばれる生薬が使われてきましたが、これはマリアアザミのことのようです。
日本では”オオアザミ”と呼ばれ、漢方で”大薊”のことだと言われています。
(諸説ありますが、アザミの仲間ではあるのは間違いありません)
ミルクシスルは肝臓をサポートする犬猫用のサプリメントとしても販売されているので、目にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
強い抗酸化作用で肝臓の細胞を保護し肝細胞の再生を促したり、炎症を抑えるとされているので、
・肝臓サポートが必要
・慢性的な炎症をかかえている
ワンちゃんネコちゃんに人気があります。
肝臓ケア以外の使い方
犬猫の耳の炎症に乾燥させたノアザミの葉を濃い目に煎じ、それをコットンに浸して耳を拭いたり、詰めるといいとされています。
単純に『炎症を抑えるから』というだけでなく、”耳の炎症”というところにこの生薬の特徴が表れていると思います。
なぜなら炎症が起こっている時は(それがどこで起こっているにせよ)”熱”が発生している状態です。
そして熱を冷やすには腎臓の働きが重要ですが、腎臓を支配しているのは脾臓。そして脾臓を支配しているのは肝臓です。
ノアザミには”健胃作用”もあり、肝臓だけでなく胃や脾、そして心にも作用します。
一般的に肝臓のケアは、”目”のケアにもつながりますが、ノアザミもミルクシスルも”目”に対する効果は聞きません。
一方”耳”はどの臓器で異変が起こっているかによって、症状の出方が変わるのが特徴です。一般に心臓と腎臓が耳と関連していると言われていますが、体というのは連携してるので単純に
『腎ケアすれば良い』『心臓をサポートすれば良い』とはなりません。
そういう意味でも、肝臓・胃・脾・心に作用するノアザミは、
・様々な理由で起こる耳の炎症
・腫物
・解毒が必要な場面
・細胞の保護が必要な場面
などに適しているのでしょう。
そのため細胞保護も必要な熱湯火傷や解毒も必要な毒虫にさされた時にも使われてきたのでしょう。
火傷や虫刺されには生の根をすりおろして絞り汁をつける。
腫れ物には生の葉を刻んで絞り汁をつける・・というような使い方がされています。
人間用サプリを犬猫にあげても大丈夫?
人用のサプリもたくさん出ているので「ヒューマングレードの方が安心」と考え、犬猫に与える方もいますが、添加物によっては犬猫に合わないものもあります。
そして犬猫用を使用するにしても、持病や服用中の薬との相性もありますので、必ず獣医さんにご相談なさってから使用した方が安心して使えるでしょう。
また野草を採取して自家製薬を作るのは、似た品種と誤認して事故につながる危険があります。(そもそも野草の採取が禁止されている場所もあります)
一言で”耳の炎症”と言っても炎症が起きる原因は様々です。
まずは獣医師の診断を受けてから、治療法やお薬などをご相談することをお勧めいたします。
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