ストロイドは怖い?~真菌症とステロイドの関係


インドで急拡大している真菌症

新型コロナウィルスの変異株が猛威をふるっているインドから、気になる情報が入ってきました。



感染から回復した人が、接合菌(ムコール目)による真菌感染症を発症しているというのです。

そもそも感染症から回復した直後は、免疫力が下がっており油断は禁物です。



また今回、問題となっている真菌とはいわゆるカビのことなので、普通に空気中に漂っています。

日本はこれから梅雨に入りますので、締め切った室内でカビをゼロにするのは現実的に難しいでしょう。


犬も猫もカビ=真菌が原因となる皮膚炎は梅雨時に増える傾向にあります。

人間の真菌・・・例えば水虫の原因になる白癬菌が犬や猫にうつるケースもあります。



また室内に浮遊するカビでアレルギーを起こすこともあります。


対策としてはマットやラグ、タオル類などをこまめに洗い、お天気の良い日は太陽に干すことが大切ですが、普段の免疫力も重要です。


真菌感染症としては4番目の多さ

真菌症として有名なのは、アスペルギルス症やカンジタ症、そしてクリプトコッカス症。

参照ブログ⇒マラセチアやカンジタが悪いのか



カンジタ症やクリプトコッカス症は犬猫でもおなじみの真菌感染症です。

そしてムコール症はそれに次いで多い真菌症です。



ただ空気中に常在する真菌による感染症に健康な人がかかることはあまりなく、白血病や骨髄移植を受けた後、かなり重度の糖尿病など持病がある方にリスクが高い感染症です。



つまり免疫力が著しく落ちている時に、感染してしまうケースがほとんどなのです。


今回インドでのケースも、コロナウィルスの感染後で当然免疫力は落ちていたと思いますが、それほど高齢でもない人がこの感染症に罹ったのには、ステロイドの長期投与の方が大きな原因だと考えられます。



なぜステロイドで真菌感染症に?

ステロイドは短期間で非常に良い結果を出しますが、長期連用すると血糖値を上げ、一時的に糖尿病のようになり、血管にダメージを与えることがあります。



新型コロナウィルスに関しては、有効な抗ウィルス薬がまだないため、ステロイドによる治療は大きな武器になっています。


ステロイド投与も1~2週間程度ではなく、もっと長期連用していたのでしょう。



ウィルスの増殖が進んだ強い炎症を抑えるためには、ステロイドは必須です。

今後抗ウィルス薬が出てきたとしても、ステロイドと併用していく形になるでしょう。


つまり命を救うためにはステロイドは外せないので、ステロイドを悪者にしたくありませんが、残念ながらこのような副作用もあるのです。





ただ強い痛みや皮膚病のかゆみを止めるために4~5日使用する程度では、あまり心配がいらないと思います。


「ステロイドを使う」と獣医さんに言われるとすごく心配する方が多いのですが、薬としてはすごく優れているので、短期集中で使ってしまった方が予後が良いケースがほとんどです。



またよく

「一度使うとクセになって、繰り返すから良くない」

という噂を心配なさる方もいらっしゃるのですが、獣医師の指示通りに投薬せず、ちょっと良くなったからと勝手に止めてしまうことにより、何度もぶり返していることが往々にして見受けられます。


見た目が良くなっても、内部は修復途中であることも多いので、自己判断で止めずに指示通りに使い切ることが大切です。



全ての真菌が病気の原因になるわけではない

空気中に常在している接合菌が全て病原性を持っているわけではありません。

ムコール症の原因となるのはクモノスカビ属やクスダマカビ属、リゾムコール属などの一部です。



カビなので、体内に入り様々な所で増殖しますが、半分近くが鼻脳型と呼ばれるタイプで、高熱や黒い鼻水、副鼻腔炎、そして顔面壊死などを引き起こすことがあります。

インドで今報告されている症例でも、顔面壊死が見られ、鼻脳型が多いようです。



次いで15%くらいが皮膚に感染し、紅斑や潰瘍を作る皮膚型。

あとは肺や消化器官に感染するタイプが10%ずつくらいです。



治療としては感染部分を外科手術で取り除くこともありますが、まずは抗真菌剤による投薬治療となるでしょう。


しかし日本ではこの真菌症に有効な薬がほとんどありません。

(知っている限り1種)



かと言って、ステロイドの長期連用治療中に、予防的に抗真菌剤を使うことはできず、なかなか悩ましいところです。



体には例えば皮膚なら脂肪酸など、外からの刺激(ウィルスや細菌・真菌なども含む)から防御する機能が備わっています。



しかし1年以上に渡り、家庭内でも通常の掃除や洗濯の他、頻繁に消毒を行っている方も多いでしょう。

手のアルコール消毒も、医療関係者でもない一般人がこれほど頻繁に行うことは未だなかったと思います。



すでに手荒れを経験している方も多いと思いますが、アルコールは皮膚を傷め、脂肪酸による自然バリアも除去してしまいます。



手洗い・消毒は大切ですが、適度な度合いを見極めるのも難しい状況が続いているのは辛いですね。


ステロイドもアルコール消毒も優れたアイテムですが、優秀が故に付き合い方にコツが必要です。